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目 的
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視覚系を中心とした人間の知覚認知過程,特に空間認識メカニズムの解明を目指している.手法は心理物理的計測および生体計測を用いる.これらに基づいたデータにより,刺激と知覚,生体反応の関係を定量化し,空間認識などの知覚過程のモデル化を進める.さらに,これらの知見を用いて,立体表示やVRシステムのための自然な三次元画像の生成をめざす.
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研究分野
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視覚情報処理,空間認識機構,異種感覚情報統合
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研究テーマ
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両眼視差による三次元知覚機構の研究
人間は,両眼視差,すなわち両眼の網膜上に写る像のわずかな違いから外界の空間構造を認識できる.そして,この両眼視差と外界の空間構造とは幾何学的に対応している.しかし人間が視差から知覚する外界の空間構造は,単に幾何学的に予想されるものではない.本テーマでは,両眼視差,特に視野の広範囲での視差の分布と,知覚される三次元構造および眼球運動等の生体反応との関係を調べ,空間認識機構における視差情報の役割を明らかにすることを目的としている.
一例は,両眼視差の基準点(ゼロ点)に関するものである.幾何学的に,左右眼の網膜上の対応点(両眼視差がゼロになる点)に像を作る空間位置(幾何学的ホロプター)は,凝視点と目を結ぶ円と凝視点を通る垂直線である.しかし,心理物理的両眼対応点に像を作る空間位置(心理物理的ホロプター)は,両側が湾曲し上方が遠方に傾いた形状となることがわかった(図1).空間における両眼視差の基準面が,このような形状の面であるということは,経験的に決まっていると考えられる.人間にとって重要な情報の多くは,直立した時の地表面上,すなわち視線に対して傾いた面上にあるからである.
次の例は,両眼視差の二次元的分布と対象の三次元形状知覚の関係を調べた研究である.これより,幾何学的にはあり得ない垂直方向の視差分布が知覚に影響することがわかった(図2).そして,特定の垂直視差分布が回旋眼球運動(視線軸回りの回転:図3)と関連していることが示唆された.しかし,垂直視差処理過程の特性はまだあまり解明されておらず,これからの研究の進展が期待される.
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図1.幾何学的ホロプター(点線)と心理物理的ホロプター(実線)
図2.垂直両眼視差の二次元的分布と知覚される面の形状
図3.眼球運動の測定
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異種感覚情報統合機構の研究
人間は,視覚,前庭,体性感覚系情報などを統合して,空間認識,姿勢制御,眼球運動などを行っている.そこで本テーマでは,姿勢,視覚刺激などをコントロールし,対象に対する運動知覚,自分自身の運動知覚,および眼球運動,身体の重心動揺等の生体反応を測定,解析し,異種感覚情報を統合する機構の働きを明らかにすることを目的としている.
一例は,面の前後運動と重心動揺の関係を調べた研究である(図4).両眼視差の変化により前後運動する面を観察したとき,面の大きさが小さければ,対象が運動しているように知覚される.しかし,面が大きくなると(>30deg),対象が運動しているようには知覚されなくなる.一方身体の重心動揺は,面が小さいときは振幅が小さく,面が大きくなると振幅が大きくなる.このことは前庭,体性感覚系情報に変化がなくとも,視覚系の情報により身体の動きが無意識に誘発される場合があることを示す.このような人間の無意識的な反応は,感性,情動など,定量化することが難しい人間特有の感覚と関連が深いと考えられる.そして次世代の情報システムでは感性,情動などを表現,伝達すること課題となるであろう.
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図4.視覚誘導による重心動揺の測定
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関連学会・国際会議
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日本光学会(応用物理学会),日本視覚学会,電子情報通信学会,日本心理学会,Association for Research in Vision and Ophthalmology (ARVO),European Conference of Visual Perception (ECVP) 他.
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参考文献
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- 金子寛彦:垂直視差処理過程の特性と機能、光学、27、8、466-472(1998)
- H. Kaneko, I. P. Howard : Spatial limitation of vertical-size disparity processing, Vision Reseach, 37, 2871-2878 (1997)
- 宇和伸明、金子寛彦、金次保明:視差・視角変化刺激観察時の重心動揺と奥行き運動知覚、映像情報メディア学会誌、53, 9,1300-1307(1999)
- P. M. Grove, H. Kaneko, H. Ono : The backward inclination of a surface defined by empirical corresponding points,Perceptron, 30, 411-429 (2001)
- 坂野雄一、金子寛彦、松宮一道:両眼視差と遠近法情報の統合過程における視距離と過去の経験の影響、光学、33, 2,(2004)
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